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2022年12月

2022年12月15日 (木)

地域防災のイノベーション 災害時の多様な課題 地域の支援者と連携を

                                             -2022/12/14 静岡新聞「時評」掲載-

 

 年が明けると、阪神・淡路大震災から丸28年を迎える。多くの建物が倒壊し多数の犠牲者を出したが、一方で、地震直後の暗がりの中、近隣住民たちの懸命の救助活動があった。ある推計によると、がれきに閉じ込められた35千人のうち77%は隣近所の人に助け出されたという。当時は高齢化率がまだ14.6%の時代。現在は30%に迫ろうとしている。今、大震災が起きたら、果たしてこうした救助活動が可能なのか。

 

 静岡県内では、1978年頃から地域の共助の要として自主防災組織が結成され、防災訓練をはじめ、さまざまな防災活動が行われてきた。しかし、県が2021年に行った県民意識調査では、自主防災組織の活動に参加している割合は39%と、調査のたびに減少傾向にある。また、役員に女性不在の組織が56%あり、災害時の多様な課題に対処できるのか懸念される。

 

 私の身近な地域で、新型コロナ禍が始まった2年前から、有志が自発的に避難所運営訓練などの防災活動を始めた。活動の特徴は、既存の自主防災組織や自治体の主催ではなく、地域でさまざまな活動をしている人たちが、災害時の課題を何とか解決したいとの思で取り組んでいることにある。きっかけは、重い障がいのある方がコロナ禍の中で避難所に行けるのか、行っても支援が受けられるのかという素直な疑問を抱いたからだったと聞く。

 

 実行委員会のメンバーを見ると、民生・児童委員、消防団員、ボランティア団体メンバー、社会福祉協議会や福祉施設の職員、障がいのある方、医師や看護師、市職員、大学や中学教員、PTAの役員、ごく普通の主婦やサラリーマンなど実に多彩である。

 

 近年は、地域社会でも障がい者や寝たきりの方が暮らす家庭への生活支援、子育て支援、食の支援などの取り組みが増え、さまざまな団体や地域の人たちが関わっている。しかし、災害でライフラインが途絶えたり、避難を余儀なくされたりした場合の課題は大きい。例えば、在宅医療機器の電源障害は直ちに生命の危機につながる。

 

 こうした課題解決に向け、普段からさまざまな支援に取り組む人たちの活動が既存の自主防災組織と問題意識を共有して結び付いていけば、まさに地域防災のイノベーション(新たな価値の創造)につながると期待される。

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