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2023年8月

2023年8月 2日 (水)

熱中症特別警戒情報 高温 災害並み対応必要

                                                                                                                 -2023/8/1 静岡新聞「時評」掲載-

 

  今年の夏も欧州などの地中海沿岸では熱波が襲い、気温40度を超えて犠牲者を出している。米国中部や中国内陸部でも同様に異常な高温が続いている。日本も7月の梅雨末期からかなりの高温が続き、熱波の襲来は決してひとごとではない。

 

 国内では高温による熱中症の死者は近年増加し、2010年は過去最多の1745人だった。1318192022年はいずれも年間1000人を超えている(厚生労働省の人口動態統計)。自然災害による死者は、阪神・淡路大震災が起きた1995年と東日本大震災が起きた2011年を除くと年間1000人を下回り、1222年の11年間における平均は186人。おおむね100200人台で、最大でも18年の452人である(23年版防災白書)。単純比較はできないが、熱中症による死者は自然災害の犠牲者を有意に超えている。

 

 地球温暖化に伴うこうした危機感からか、政府は4月に気候変動適応法を改正し、極端な高温状態が予想される場合には現在の熱中症警戒アラートから1段上の熱中症特別警戒情報を発し、住民が一時的に退避できる冷房の効いた「クーリングシェルター」の設置を市町村に呼びかけるとのことである。既に、東京都内の各区や埼玉県熊谷市、神奈川県秦野市など全国いくつかの自治体では、図書館や公民館などの公共施設だけでなく、ショッピングセンター、コンビニ、薬局など民間施設の協力を得た体制整備が始まっている。

 

 災害対策基本法は、豪雨、地震、津波、噴火などとともにその他の異常な自然現象による被害を災害としているが、高温という異常な気象現象は犠牲者の多さから見ても大規模災害に匹敵する対応が必要である。特に、昨年の東京や大阪の実態を見ると犠牲者の8割以上が高齢者だ。災害時の要支援者に対する地域での声掛けや避難支援など、以前から培ってきた災害対応の仕組みを活用し、冷房設備の使用などの呼びかけが望まれる。災害時の避難所となる学校の教室や体育館も冷房設備が整えば(文部科学省によると冷房設置率は全国平均65%、静岡県内49%)、避難所の環境改善だけでなくクーリングシェルターとしても期待できる。

 

 まずは官民が協力して、大規模災害に匹敵する熱波という新たな事態に向き合っていく必要がある。

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