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2023年9月27日 (水)

2014年御嶽山噴火の教訓 火山活動「見える化」を

                                                                                                                -2023/9/26 静岡新聞「時評」掲載-

 

 岐阜・長野県境の御嶽山(3067㍍)が噴火して、あす27日でちょうど9年になる。火山活動としては小規模な水蒸気噴火であったが、紅葉真っ盛りの昼時(午前1152分発生)で山頂付近に多くの登山者が居合わせ、噴煙や噴石に巻き込まれて63人の死者・行方不明者を出す大惨事となった。

 

 噴火17日前の910日には火山性地震が52回、11日には85回観測され、その後の地震活動は小康状態とはいえ継続していた。本来であれば、当時既に導入されていた噴火警戒レベルを「2」に引き上げ、火口周辺への立ち入り禁止、登山者への注意喚起を行ってもよい状況であった。

 

 この噴火を受けて2015年、活火山法(活動火山対策特別措置法)が改正され、全国の主要な50の活火山のうち防災上重要な49火山で観測機器の設置など常時監視を行うこととなった。さらに、都道府県や市町村、関係機関などで構成する火山防災協議会が設置され、火山ハザードマップの整備や噴火警戒レベルの導入とともに、住民や登山者の警戒避難体制が強化されてきた。今年6月の法改正では、政府に新たに火山調査研究推進本部を設置し、火山の観測や調査研究、広報の強化が行われる。

 

 こうした体制強化の中でぜひ期待したいのが火山活動状況の「見える化」である。141029日の本欄においても観測データの公開を呼びかけたが、なかなか進んではいない。

 

 各火山には地震計や傾斜計をはじめ、さまざまな観測機器が設置されている。地震観測データなどを研究者など専門家に提供する仕組みはできたが、あくまでも観測した生のデータで、一定の解析を行わないと震源の位置などは分からない。気象分野では、衛星画像が公開され雲の動きは誰でも見ることができ、雨雲の動きや雨の降り方も気象庁の降水ナウキャストを見ると一目で分かるようになった。

 

 火山活動は台風や集中豪雨などと違ってまれにしか活発化しない。このため普段の状態はほとんど注目されないことが多い。地下で起きている火山性地震やマグマの動き、地殻のひずみ、火口周辺の噴気の状況など、小さな変化であっても火山の日常の状況を見える化し、誰もが理解できるようしておくことが重要だ。こうした積み重ねにより、いざ警戒が必要な時に的確な行動を促すことができる。

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